轟病院
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『食べたい』という希望を叶える
脳出血発症したが手術の適応がなく保存加療となった患者様。両側に麻痺があり、入院時基本動作、日常生活動作が全介助でした。
重度の意識障害や多発した褥瘡のため、リハビリを積極的に行えるようになったのは、47日目からでした。入院中、誤えん性肺炎になったこともあり、『食べること』に対しても難しいかもしれないと考えられていました。
当院入院から半年経った頃、患者様ご本人より「何か食べたい」という希望が多く聞かれるようになり、『食べたい』いう希望をどうにか叶えられないかと医師、看護師・ヘルパー、栄養士、リハスタッフとで繰り返し意見交換を行い、情報を共有しながら病棟全体で『食べること』に対して取り組むこととなりました。
前院では、『食べること』は難しいと判断されていましたが、声かけした時の反応が良くなってきたことや会話が少しずつできるようになってきたこと、肺炎も落ち着いたことなどもあり、あらためて言語聴覚士がえん下機能評価を行いました。えん下訓練を行うことで夜間痰が増える状況があったので、看護部との情報共有はしっかり行い、無理なく継続して嚥下訓練を行ないました。それに並行し作業療法士は、残っている右側上肢の機能を生かすため自助具を選び、自助具を使用して食事を自分で食べられるように訓練を行いました。また理学療法士は食事姿勢に対するポジショニングや座位訓練などで手が上手に使えるように訓練を継続して行いました。
食事訓練を始めて3ヵ月後、自助具ではなく普通のスプーンを使用し、ペースト食を自分で食べられるようになりました。
声かけしても反応が少なかったり、肺炎になってしまったりで長い期間の入院となっていた患者様でしたが、その時その時の状況に応じて、評価をやり直し、いろいろなスタッフと協力したことで脳出血になってから10ヶ月後に患者様の『希望』を叶えることができました。
今回の患者様のように発症から半年以上が過ぎ、著しく良くなることは難しいと考えられる時期の患者様の変化でしたが、これからも患者様一人一人の変化を見逃さず、時間がかかっても諦めず病棟全体で医療を提供していきたいと思っています。